歯周病やむし歯で歯を抜かなければならない。外傷で歯が折れた。そんな時の治療法として選択肢のひとつに挙げられるのが「インプラント」。
入れ歯やブリッジほど一般的ではないため、インプラントがどのような仕組みの治療法で、どんなパーツで構成されているのかよくわからないという方も少なくないことでしょう。
そこで今回は、インプラントの仕組みと構造や各パーツの名称について、宇都宮市砂田町のココ歯科クリニックがわかりやすく解説をします。
■そもそもインプラント治療とは?
歯を1本丸ごと失った、あるいは抜かなければならない時に必要となるのは「補綴治療(ほてつちりょう)」で、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類が存在しています。
インプラントはこの中で唯一、失った歯を歯根から回復できる治療法であり、天然歯に近い見た目や噛み心地を再現できます。そのかなめとなるのがチタンや純チタンで作られた「インプラント体(フィクスチャー)」です。
インプラント治療では、フィクスチャーとも呼ばれるインプラント体を顎の骨に埋め込み、土台となるアバットメントと人工歯にあたる上部構造を装着します。
■インプラントの構造について
次に、インプラントの構造を各パーツの名称と特徴から掘り下げていきましょう。
◎インプラント体(フィクスチャー)
人工歯根にあたるインプラント体は、ネジのような形をしています。直径が3~5mm程度、長さは6~18mm程度なので、実物を見ると家具などに使われるネジと見間違える方もいらっしゃることでしょう。
インプラント体は見た目通り、ドライバーを使って顎の骨に埋め込みます。
一般的なインプラント体は純チタンやチタン合金で作られていますが、それは顎の骨と自然に結合する特性があるからです。この現象を専門的には「オッセオインテグレーション」と呼び、インプラント治療の成功のカギを握っています。
◎アバットメント
インプラント体を顎の骨に埋め込んだら、次は「アバットメント」が必要となります。
アバットメントは、人工歯根と人工歯を連結するパーツで、これもチタンで作られていることがほとんどです。人工歯根と人工歯の間にアバットメントを介在させることで、人工歯の角度を調整したり、噛んだ時の力を緩和したりする作用が得られます。
現状では、このアバットメントとインプラント体が分離しているタイプが主流となっていますが、一部には両者が一体化した「ワンピースタイプインプラント」も存在しています。
ワンピースタイプインプラントなら、インプラント手術を1回で済ませられ、費用も比較的安く抑えられることから、ツーピースタイプインプラントにはないメリットが得られるものの、上部構造の傾きを調整したり、咬合圧を緩和したりする機能は期待できません。
◎上部構造
上部構造は、インプラント治療における人工歯です。通常はセラミックで作られ、アバットメントに固定します。上部構造の固定方法には、セメント固定とスクリュー固定の2種類があり、それぞれのケースに適した方法を選択します。
セメント固定は、一般的な被せ物と同じく、歯科用セメントで固定します。一度、固定すると簡単に外すことはできないため、アバットメント、インプラント体にトラブルが生じた際には、上部構造を破壊しなければならないことも。
一方、スクリューは文字通りネジ(スクリュー)でとめる方式なので、歯科医院で取り外すことができます。
■インプラントの仕組みについて
インプラントの仕組みは、複雑なように見えて、実際はとてもシンプルです。前述したように、インプラントは人工歯根と土台、人工歯の3つパーツから構成され、この点は、入れ歯やブリッジと異なります。
また、入れ歯は金属製のクラスプという留め金を残った歯に引っ掛けて、歯の欠損部には義歯床と人工歯が配置される点もインプラントとは仕組みが根本的に異なると言えるでしょう。
ブリッジに関しては、固定式という点でインプラントと仕組みが似ていますが、残った両隣の歯を大きく削って支えとしなければならないため、治療を行う際はデメリットとなることも。
つまり、インプラントというのは、残った歯に引っ掛けたり、支台歯を大きく削ったりする必要がないため、健康な歯の寿命を縮めないメリットの多い治療法なのです。。
■まとめ
今回は、インプラントの仕組みと構造について、宇都宮市砂田町のココ歯科クリニックが解説しました。
失った歯を歯根から回復させるインプラントは、人工歯根に当たるインプラント体、人工歯である上部構造に加えて、それらを連結するアバットメントから構成されています。
各パーツにはそれぞれ重要な役割が与えられていて、どれかひとつでも不具合が生じたら、インプラント全体の機能を損ねてしまう点に注意が必要です。そんなインプラント治療についてもっと詳しく知りたいという方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。