インプラントには健康保険が適用されないため、従来法と比べると費用が高くなりがちです。その分、審美性や機能性、耐久性を追求することができるのですが、長持ちしなければコストパフォーマンスが悪いと言えるでしょう。
そこで今回は、インプラントはどのくらい長持ちするのか、寿命が短くなる原因や外れてしまった場合の交換の可否などを宇都宮市砂田町のココ歯科クリニックが解説します。インプラントの寿命に関心がある方は、このコラムを参考にしてみてください。
目次
▼インプラントの平均的な寿命について
はじめに、インプラントの平均的な寿命について説明します。
歯科装置の寿命というのは、患者様のお口の中の状態や歯科医師の技術、治療後のケアの状況などによって大きく変わるため、一概に語ることは難しいです。
その上でインプラントの平均的な寿命について言及すると、「10年以上」という年数をあげることができます。
これは治療後に正しい口腔ケアを行い、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けていることが前提で、「約10年は持つことが多い」という意味でのインプラントの平均寿命です。
インプラント治療から10年経過したらいつ壊れてもおかしくはないという意味ではありませんので、その点はご安心ください。
ちなみに、当院でも取り扱っている「ノーベルバイオケア社」ようなシェアが高いインプラントシステムであれば「5~10年保証」となるのが一般的です。
インプラントを埋入して保証期間以内なら、その間にトラブルが起こったとしても無償※で再治療等が受けられるという保証になります。保証内容を加味するとインプラントが一般的に10年持つという話はご理解いただけるかと思います。
※トラブルによっては保証対象外となり有料となることもあります。
◎従来法との比較
ここで気になるのが「10年以上」というインプラントの平均寿命が長いのか、あるいは短いのかという点です。
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失った歯を保険診療の入れ歯で補った場合
3~4年程度で装置が寿命を迎えると言われています。入れ歯は着脱式の装置であり、変形や変性も起こりやすいことから、製作から1~2年で使いにくいと感じるようになるケースも珍しくありません。
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保険診療のブリッジを選択した場合
7~8年程度で壊れたり、合わなくなったりすると言われています。
ブリッジはインプラントと同じ固定式の装置ですが、欠損部にはポンティックと呼ばれる歯冠だけの人工歯を配置するだけで、噛んだ時の力は残った歯で受けとめなければならないため、寿命が比較的短くなっているのです。
このようにインプラントは、従来法と比較すると、寿命が長い装置といえるでしょう。しかも「10年以上」というのはあくまで目安でしかなく、治療後のケアとメンテナンスをしっかりと継続すれば、20年、30年使い続けることも難しくはないのです。
▼インプラントの寿命が短くなる原因
インプラントは、以下に挙げる原因によって寿命が縮むことがあります。
【原因1】喫煙習慣がある
タバコを吸う習慣がある人は、インプラントの寿命が縮まることが多いです。
タバコの煙に含まれるニコチンは、歯ぐきや歯槽骨の血流を悪くし、酸素・栄養素・免疫細胞の供給を妨げます。その結果、インプラントを支える組織の健康状態が悪くなって、人工歯根の脱落などを招くのです。
【原因2】インプラント周囲炎の発症
インプラント特有の歯周疾患であるインプラント周囲炎は、顎の骨を急速に破壊していきます。
そうなるとインプラント体(チタン製)と顎骨の結合「オッセオインテグレーション」も失われ、インプラント全体を正常な状態に維持するのが不可能となります。
【原因3】歯ぎしり・食いしばりの習慣がある
成人男性の歯ぎしり・食いしばりは、歯や顎に対して100kg程度の力がかかると言われています。そのような強い圧力がインプラントにかかり続けると、装置の寿命は短くなります。
【原因4】定期的なメンテナンスを受けていない
インプラント治療後のメンテナンスを定期的に受けていないと、上部構造の欠けやアバットメントの緩み、インプラント周囲炎の発症などを見過ごしやすくなるため、装置の寿命も低下する可能性があります。
▼寿命を迎えたインプラントは交換できる?
何らかの理由で寿命を迎えたインプラントは、顎の骨の状態が良ければ新しいものに交換することは可能です。
インプラントを交換する費用は、寿命を迎えた時期や原因によって大きく異なります。インプラントの保証期間内かつ「定期的なメンテナンスを受けている」「喫煙していない」など、一定の条件を満たしている場合は、無償で交換処置が受けられます。
そうではないケースでは、改めてインプラント治療の費用がかかります。詳しくは歯科医師にご確認ください。
▼まとめ
今回は、インプラントの寿命が短くなる原因や交換の可否について、宇都宮市砂田町のココ歯科クリニックが解説しました。
インプラントの平均的な寿命は10年以上で、喫煙習慣があったり、定期的なメンテナンスを受けていなかったりすると長持ちしないことがあるため十分な注意が必要です。
インプラントが寿命を迎えるまでに適切なセルフケアを行い、定期的なメンテナンスを受けていれば、人工歯根の交換にかかる費用がかからないこともありますので、治療後の生活習慣等にも配慮することをおすすめします。