骨粗鬆症の薬を服用中でも人工歯根は可能か|適応条件を解説|宇都宮市の歯医者|ココ歯科クリニック

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骨粗鬆症の薬を服用中でも人工歯根は可能か|適応条件を解説

骨粗鬆症の薬を服用中でも人工歯根は可能か|適応条件を解説

骨粗鬆症の薬を飲みながら、歯の治療をどう考えるか


「骨がもろいから人工歯根(インプラント)は難しい」と説明を受け、そのまま入れ歯を検討している方は少なくありません。ただ、服薬の種類や期間、顎の骨の状態によって判断の材料は変わります。この記事では、適応が慎重に検討される医学的条件と、再確認するときの見方を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 骨粗鬆症の服薬中も一律に適応外ではなく、薬の種類や骨の状態を踏まえて個別に判断されます。
  • 歯科用CTによる立体的な確認や内科主治医との連携が、治療の可否を見極める材料になります。
  • 人工歯根が難しい場合も義歯やブリッジなどがあり、ご自身の状態に合わせた選択が可能です。

人工歯根ができない・向いていないとされる主な医学的条件

人工歯根ができない・向いていないとされる主な医学的条件

人工歯根は顎の骨に土台を埋め込み、骨と結合(オッセオインテグレーション)させる外科手術を伴う治療です。自由診療にあたり、公的医療保険は適用されません。そのため、骨や全身の状態によっては慎重な検討が求められます。


顎の骨の量・厚み・密度が不足しているケース


抜歯後に時間が経つと、噛む刺激が伝わらなくなった歯槽骨は少しずつ痩せていきます。土台を支えるだけの高さや幅が残っていない場合、そのままでは埋入が難しくなります。ただし骨が足りない=断念、とは限らず、GBR法・ソケットリフト・サイナスリフトといった骨を増やす処置を併用する方法も検討されます。どの程度不足しているかは、レントゲンだけでなく立体的な画像で確認する必要があります。


骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート系等)を服用しているケース


ビスホスホネート系やデノスマブなどの抗骨吸収薬は、骨の代謝を抑えることで骨密度の低下を防ぎます。一方で、顎の骨に外科的な刺激が加わった際、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)が生じる可能性が指摘されてきました。骨粗鬆症に対する抗骨吸収療法を受けている方の人工歯根について検討した系統的レビューでは、発生の報告は限られるものの、リスクがゼロとは言い切れないと整理されています3服薬中であること自体が即座に適応外を意味するわけではなく、薬剤の種類・投与経路・期間を踏まえた個別判断になります。


糖尿病・高血圧など全身疾患を抱えているケース


血糖コントロールが不安定な糖尿病では、傷の治りや感染への抵抗力が落ちやすくなります。高齢者や全身疾患を持つ方の人工歯根の生存率を調べた報告では、条件が管理されていれば良好な経過が示される一方、コントロール状況によって差が出ることも指摘されています4。内科の主治医と情報を共有し、血圧や血糖値が安定しているかを確認したうえで進めるのが基本の流れです。人工透析を受けている場合も、透析日との調整を含めた慎重な検討が必要になります。


喫煙習慣や重度の歯周病・未治療のむし歯があるケース


喫煙は歯ぐきの血流を妨げ、傷の治癒や感染への抵抗を低下させる要因として知られています2。また重度の歯周病が残っていると、埋入後にインプラント周囲炎を起こす下地になりかねません。未治療のむし歯を含め、口腔内の環境を整えることが前提条件として求められます。


服薬中でも人工歯根を再検討できる場合の判断材料


「骨がもろい」と一度言われた経験があると、それが最終的な結論のように感じられるものです。ただ判断の根拠となるのは、その時点で得られていた情報の範囲です。


歯科用CTで確認する骨の状態と判断の目安


平面のレントゲンでは、骨の高さはある程度わかっても厚みや内部の密度までは読み取れません。歯科用CTを使うと、顎の骨を立体的にとらえ、神経管や上顎洞との位置関係、皮質骨と海綿骨のバランスまで確認できます。こうした立体的な画像診断は、正確な診断につなげるうえで有用とされています。撮影自体は数分程度で終わり、全身の骨密度検査(腰椎・大腿骨)の数値とは別に、顎の骨がどれだけ土台として使えるかを個別に見ていく点が要になります。


服薬の種類・投与期間によってリスクの度合いが異なる点


抗骨吸収薬といっても、内服薬か注射剤か、投与量が骨粗鬆症向けか悪性腫瘍の骨転移向けかで、想定される影響の度合いは同じではありません。服用期間の長さも判断材料のひとつとされています3。内科の主治医に、薬剤名・開始時期・投与間隔を書面で確認してもらうと、歯科側の検討がしやすくなります。休薬の要否についても、骨折リスクとのバランスから医科・歯科で相談するのが一般的な進め方です。自己判断で薬を中断しないよう注意が必要です。


前医で難しいと言われた場合に相談先を変えて確認する視点


別の医療機関で改めて精密検査を受け、判断の根拠を聞き直すことは、選択肢を狭めないための現実的な方法です。相談の際は「どの部位のどの数値が不足しているのか」「骨造成を併用した場合はどうか」「人工歯根以外だとどの方法が合うのか」の3点を質問として持参すると、説明が具体的になります。結果として同じ結論になったとしても、納得して次の治療を選べる材料が増えます。なお、外科処置には腫れ・出血・感染・神経障害などのリスクが伴う点も、あらかじめ説明を受けておきたいところです1


年齢・生活習慣・心理面からみる向いていないケース


骨や持病以外にも、適応の検討で確認される要素があります。


未成年や妊娠中など時期的に難しいケース


顎の骨が成長段階にある年代では、埋入した土台だけが位置を変えられず、周囲の歯とのバランスが崩れることがあります。おおむね18〜20歳前後で成長の終了を確認してから検討するのが一般的です。妊娠中は、レントゲン撮影・投薬・外科処置のいずれにも配慮が必要なため、出産後に時期を改めて相談する流れになります。


歯ぎしり・食いしばりの癖が強いケース


就寝中の歯ぎしりは自覚しにくく、天然歯にかかる力より強い力が一点に集中することがあるとされています。ブラキシズムと人工歯根の関係を調べたメタアナリシスでは、脱落との関連が示唆される一方、結論には幅があると報告されています5。癖がある場合でも、就寝時のマウスピース使用や噛み合わせの調整を組み合わせて対応を検討します。


将来の通院継続や介護・認知症の可能性を見据えた判断


人工歯根は入れて終わりではなく、3ヶ月に1度程度の定期メンテナンスが長期の安定に関わります4。将来、通院が難しくなったり、ご自身での歯みがきが困難になったりした場合、インプラント周囲炎に気づきにくくなる懸念があります。ご家族の介助やお住まいの地域の訪問診療の有無まで含めて考えておくと、10年後20年後の選択に余裕が生まれます。


金属アレルギーがある場合や手術への不安が強い場合の考え方


土台に使われるチタンはアレルギーが起こりにくい素材とされますが、金属アレルギーの既往がある方は事前にパッチテストなどで確認する方法があります。金属を避けたい場合は、ジルコニア製の選択肢を扱う医療機関もあります。ジルコニア製の製品のなかには国内で薬機法上の承認を受けていないものもあるため、使用予定の製品が国内承認品かどうかを事前に確かめておくと判断がしやすくなります。強い緊張や嘔吐反射で外科処置に踏み出せない方には、静脈内鎮静法という方法が用いられることもあり、麻酔管理を専門とする医師が担当する体制かどうかは、確認しておきたい点です。


人工歯根が難しい場合に選べる入れ歯・ブリッジという方法


適応が難しいと判断された場合も、歯を補う方法は残されています。それぞれの構造と負担のかかり方を知っておくと、比較がしやすくなります。


入れ歯の特徴と噛み心地・見た目の目安


取り外し式の義歯は外科処置を伴わず、骨の量が少ない場合や欠損が広い場合にも対応しやすい方法です。保険診療で作製できる範囲があり、費用を抑えやすい点も実際的です。一方で装着当初は違和感があり、慣れるまでに調整を重ねることが多くなります。部分入れ歯ではバネをかける歯に力がかかるため、その歯の状態を保つ手入れが求められます。


ブリッジの特徴と両隣の歯を削る範囲


失った歯の両隣を支えにして人工歯を渡す固定式の方法で、取り外しの手間がありません。ただし支えとなる健康な歯を全周にわたって整える必要があり、その分の負担が生じます。支台歯に力が集中するため、支えの歯の寿命に影響する可能性も含めて検討します。


歯が抜けたまま放置した場合に起こる骨吸収・対合歯の挺出


噛む刺激が途絶えた部分の歯槽骨は、使われない骨として少しずつ吸収が進みます2。さらに噛み合う相手を失った対合歯が伸びてくる(挺出する)、隣の歯が傾くといった変化が起こり、後から治療しようとしたときに選べる方法が減ることがあります。放置期間が長いほど、事前に必要な処置が増える傾向があります1


骨造成を行う場合の治療期間・追加費用の目安


骨を増やす処置を併用する場合、通常の治療期間に加えて数ヶ月の治癒期間が必要になります。骨造成の費用は一般に5万〜20万円程度、人工歯根1本あたりは30万〜50万円程度が目安として挙げられることが多いものの、これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や症例により異なり、いずれも自由診療のため全額自己負担となります。


宇都宮市で人工歯根の適応を確認しながら相談する流れ


宇都宮市内で歯科用CTによる精密検査を受けられる医院の選び方


持病や服薬がある場合、平面のレントゲンだけで判断されるより、歯科用CTで立体的に確認してもらえるかどうかが大きな違いになります。あわせて、内科の主治医と連携をとる姿勢があるか、外科処置のリスクまで含めて説明してくれるかも確認しておきたい点です。パート勤務などで通院日が限られる方は、メンテナンスまで無理なく続けられる距離かどうかも判断材料になります。


使用する人工歯根や材料が国内承認品かどうかの確認


人工歯根(歯科用インプラント)には、チタン製を中心に国内で薬機法上の承認を受けた製品が複数あり、承認を受けた製品は国内の歯科材料販売業者(ディーラー)を通じて仕入れるのが通常の入手経路です。一方、海外で製造された製品やジルコニア製の一部には、同じ用途で国内承認を受けていないものがあります。国内未承認の製品を用いる場合、歯科医師の判断による個人輸入で入手することになり、国内の承認制度に基づく品質・安全性の確認を経ていない点に注意が必要です。


また、国内未承認の製品については、諸外国での承認状況や安全性に関する情報が十分に確認できない場合があり、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。加えて、国内未承認の医薬品・医療機器を用いた治療で健康被害が生じても、医薬品副作用被害救済制度・医療機器等被害救済制度の対象外です。相談の際は、使用予定の製品名と国内承認の有無、入手経路をあわせて確認しておくと判断材料が増えます。


初診相談で伝えておきたい持病・服薬情報


お薬手帳を持参し、骨粗鬆症の薬の名称・開始時期・投与方法(内服か注射か)を伝えられるようにしておくと、話が早く進みます。過去に抜歯した時期や、前医でどう説明されたかのメモも役立ちます。準備しておく情報が具体的なほど、検討できる選択肢の幅も見えやすくなります。


よくある質問


Q. 人工歯根が難しいと言われる理由には、どのようなものがありますか。

A. 顎の骨の量や密度の不足、コントロールが不安定な全身疾患、重度の歯周病や未治療のむし歯、喫煙習慣、骨の代謝に関わる薬の服用などが挙げられます。理由によっては、事前の処置や骨造成の併用で再検討できる場合もあるため、具体的にどの条件に該当するのかを確認すると次の判断がしやすくなります。


Q. 骨粗鬆症の薬は、歯科治療の前に自分でやめてもよいのでしょうか。

A. 自己判断での中断は避けてください。骨折のリスクとの兼ね合いがあるため、休薬の要否は処方している医科の主治医と歯科が相談したうえで決めるのが一般的な進め方です。


Q. 奥歯を抜いたまま放置していますが、今からでも治療できますか。

A. 状態によります。放置期間が長いと歯槽骨の吸収や対合歯の挺出が進み、噛み合わせの調整や骨を増やす処置が追加で必要になることがあります。まずは現状を画像で確認してもらうところから始めるとよいでしょう。


Q. 手術への恐怖心が強い場合、どうすればよいですか。

A. うとうとした状態で処置を受ける静脈内鎮静法という方法があります。適応の可否や体制は医療機関によって異なるため、事前の相談で確認してください。


Q. 国内未承認の人工歯根を使う場合、どのような点に注意が必要ですか。

A. 国内未承認の製品は、歯科医師の判断による個人輸入で入手することになります。同じ用途で国内承認を受けたチタン製の製品がある一方、未承認の製品は諸外国での承認状況や安全性の情報が十分に確認できず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。さらに、健康被害が生じた場合も医薬品副作用被害救済制度・医療機器等被害救済制度の対象外です。


Q. 治療にかかる期間の目安はどのくらいですか。

A. 一般的には、埋入から人工歯の装着まで3〜4ヶ月程度が目安とされます。骨造成を併用する場合は、さらに数ヶ月が加わることがあります。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

3. Mirza R, El Rabbany M, Ali DS, et al. Dental Implant Failure and Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw Related to Dental Implants in Patients Taking Antiresorptive Therapy for Osteoporosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Endocrine Practice. 2025. PMID: 40505730 / DOI: 10.1016/j.eprac.2025.06.003

4. Schimmel M, Srinivasan M, McKenna G, et al. Effect of advanced age and/or systemic medical conditions on dental implant survival: A systematic review and meta-analysis. Clinical Oral Implants Research. 2018. PMID: 30328186 / DOI: 10.1111/clr.13288

5. Zhou Y, Gao J, Luo L, et al. Does Bruxism Contribute to Dental Implant Failure? A Systematic Review and Meta-Analysis. Clinical Implant Dentistry and Related Research. 2016. PMID: 25726844 / DOI: 10.1111/cid.12300


加藤 淳

歯科医師


ココ歯科クリニック

院長

加藤 淳

▶ 監修者プロフィール

経歴
1997年 日本大学歯学部 卒業
1997年~2000年 日本大学歯学部口腔外科 在籍
2000年~2002年 グリーン歯科 勤務
2002年~2007年 しらさぎ歯科医院 院長
2007年5月 ココ歯科クリニック 院長